8月30日に決まった衆議院選挙で問われるのは、進むべき日本の進路とその在り様であり、政権交代がテーマでは無い事は自明の理である。戦後一貫して進んで来た成長を基本としたシステムの機能不全を解決する為に、新たなシステムの構築が今日必要に迫られている。遅きに失っした、と言う実感を持ちながらも、各政党の選挙公約とその成り行きを注目しなければならない、と思っている。
少なくとも、目指すべき方向は、「小さな政府と大きな社会」 と言う事だと思っている。その実現の為にいかなるシステムを構築出来るかである。
今日発表された民主党の衆議院選マニフェストを見ると、「生活重視」、と言う「大きな社会」に向けての指針は充分に見て取れる。省益から国益へ、利権社会から絆社会へ、中央集権から地域主権へというキーワードにも大いに期待をしたい。が、「脱官僚」が、「小さな政府」実現への必要充分な説明に成っているだろうか、と思うのである。「小さな政府」とは、官僚の数の削減や賃金カットでは無い。一見して、外交と安全保障と言う国家においてもっとも重要な指針が、ごそりと抜け落ちているからだろうと思う。
政権担当の実績の無い民主党が、とにかく政権担当をする事は良い事である。ロマンだけでは生きられない現実社会のリアリティーを民主党が獲得する事は、日本国にとってもマイナスでは無い。と言っても、政権交代がテーマでは無い。今日、最も危惧するのは、情報化社会と成熟社会を実現してしまった私達が、思考する事を放念して酷くポピュリズム侵されている事である。国民もマスコミも目先のムードに押し流された、前回の小泉郵政選挙の愚かな過ちを2度と繰り返したくない、と思うからである。見えない風に流されてのワンサイドゲームは、結果良好な状況を醸成しない、と言う経験を私達は忘れては成らないのである。
早期に提出されるであろう自民党のマニフェストも、じっくりと読込み比較をしたい。あと1ヶ月余の残された時間を、ポピュリズムに流される風を鎮める為にも、有効に使えればと思うのである。