夏休み四日髪切り鬚剃らず 幻椏
四日間の夏休みである。立秋も過ぎた昨日、夏空に初めての雲の峰を見た。13日、義父の新盆会、我が家の迎え盆の為に墓参。14日は、親しい新盆の御宅に御挨拶と親戚回りで一日が終わり、今日15日が、唯一ゆっくり出来る日に成りそうである。
終戦記念日に合わせて2つの「美香蓮」が咲いた。嬉しい限りである。
美香の名の通り、幽かな蓮の花の香が心地良い。
昨夜、戦争を語り継ぐNHKの特別番組に金子兜太先生が御出演なさっていたので、拝見した。極限に追い込まれた人間の非常と無残、64年の時間の経過の中で初めて語られる重い言葉。私は、テレビの前から逃げ出したい衝動を抑え、最後まで聞き、受け止めた。
後、真夜に鳴き続ける蝉の声を聞き、不思議に思い庭に出た。盆の挨拶回りが終わって帰宅した時、カーナビが日没を知れせていたが、鳴き止まぬ蝉時雨の随分暗くなるまで鳴き続ける異常を意識していた。終戦前日の14日、熊谷は、太平洋戦争最後の空襲を受けたのである。この蝉の鳴き声は何なのだろうと、酷く動揺した。午夜の唖蝉がひり出す鳴き声とは全く異なる蝉時雨である。
時を超え、やっと語り得た安堵が、蝉に憑依したのだろう、と私は思えてならなかった。
日没後真夜に鳴く蝉敗戦忌
つくつくし最期いいよいいよもういいよ 幻椏