畏友 勝野平二氏の個展が今日から10日まで、八木橋アートギャラリィーで開催されている。とにかく初日にと、銘酒「直実」を持ってお邪魔した。思えば、すでに30年を超える長いお付き合いである。良くも悪くも、沢山の歴史を積み上げて来た。
若い時、友人の店舗を設計させて頂き、「我雅舎」と言うギャラリーを創った。単に設計に止まらず、我雅舎(ががしゃ)と言うネーミングや、運営にも参加し、楽しい時間を頂いた。その仕事は、「店舗と建築」と言う専門誌の巻頭作品としても取り上げて頂いた。そこで現代版画の連続企画展を開催したり、北関東ではそこそこ有名なスポットになった。そのギャラリィーで1981年、勝野さんの個展をプロデュースさせて頂いた事がある。初々しい素晴らしい個展で、その時出品された「少年の顔」と言う一枚を、変わらず我が家の壁に掛けさせて頂いている。傑作である。
勝野さんがパリに留学する時も、ファンドを募り、皆でささやかなパトロネージをさせて頂いた。が、思い余って友人たちとパリまで陣中見舞に出掛けた。若かったのである。彼が学ぶ、グラン・シュミエールと言う有名な画学校に1日忍び込み、一生懸命クロッキィーをした事なども思い出深い。
地元秩父、東京の画廊や銀座プランタンでの個展は、ほぼ全て拝見させて頂いている。熊谷では28年ぶり、2度目の個展であり、意義のある会に成った。
勝野さんの絵は、リリシズムとモダニズムをベースにして、独特のヘイジ・ワールドが繰り広げられている。ヘイジ・ブルーと言われる多様な青色を特徴としていたが、今回、ヘイジ・バイオレットとでも言えようか、赤色が強く押し出されていた。「レッド・ヴァイオレンス・・」、と勝野さんは笑っていたが、30年を超えて一人の作家を見続ける楽しさを、今日も感じさせて頂いた。
お時間ある方は、是非足を運んで頂きたい。