除夜の鐘天頂の望月の鐘 幻椏
「除夜の鐘が広がる空に陰暦8月15夜のごとき満月。満月から初日への年越しだった。」
本日 節分を前に、上記句評と共に朝日俳壇・金子兜太選の首席を頂いた。今年初めての入選である。毎回これが最後の入選と緊張しながら、投句を続けて来た。殊の外年初の入選は大きな安堵である。
唯一発表の場を朝日俳壇と定め、1日1句を続けて10年が立ち、この句業も第2ディケードを迎えた。日々の生活を通して如何なる俳句をこの先得るか、大いに楽しみながら精進を続けたい、と思うのである。
私は、恒例の晦日払いをする為に12時を待った。年が越えると、幣束を持って各部屋を回り、窓を開け放してお祓いをする。事務所も回り、終えて隣接する辻にその幣束を立てに行く。除夜の鐘は、遠く四方から響き、天空真上に満月が空気さえ邪魔する事無く、明らかに在る。この日この月に感激して、多くの俳句が詠まれたに違いない。私も、我が非力を感じながら、この句と
除夜の鐘垂直の望月の影 を得た。
こうして、金子先生に御取り頂き、あの望月の感動を改めて強く心に留める事が出来る。ありがたい事である。