網膜裂孔の検診には、瞳孔を薬で強制的に開かせなくては成らない。ドクターの御配慮で、土曜日の午後定期健診をして頂いた。幸いにも、新たな裂孔は無いとの診断で一安心である。が、瞳孔の調節は不能で、冬日の夕日と言えども眩しかった。
見る灯が、きらきらと八方に糸を引くファンタスティックな風景の中、「山本素竹展ー陶印に遊ぶ」 を拝見する為、高崎高島屋に向かった。俳人素竹氏に出会ってどれ程に成るだろうか。その後、書家、篆刻家、陶芸家と、多彩な分野で精力的に作品を発表する彼の仕事振りを身近で拝見して来た。今回の個展は、何時に無く精緻で、知的な会場と成っていた。書が、極めて構築的で建築的である。奔放な筆致も揺ぎ無く、確りと大地に屹立して居る様に思えた。建築的とは、余白と言う空間の中の存在感、という事である。陶印は、素焼きの印台に篆刻をして、後にさらに釉薬を付けて焼いたものである。これが中々魅力的で、石の篆刻とは一味違う。
個展会場の空気が、何とも豊穣であった。益々素竹氏が素竹氏を抱え、羨ましい程に深化している様を拝見出来たのである。
素竹氏を慕う若い俳人や友人の輪に私も加えて頂き、高崎の街に出て酒宴と成った。ニュートラルな熊谷とは違い、高崎は地方のセンター性を確りと持っている良い街である。上り最終電車までの時間を、たっぷりと素竹ワールドに遊んだ。良い時間を頂いた事に、感謝である。
「山本素竹展ー陶印に遊ぶー 書・篆刻・ぐいのみ」 は、高崎高島屋5階アートギャラリーにて、18日までの開催である。後2日ではあるが、御時間の在る方は、是非足を運んで頂きたい、と思う。