我が社の欅の葉が大いに茂っている。雨が降るとその重みで、人の背丈にも垂れ下がる。ありのままが良しと、植木屋にも剪定をさせずに来たが、流石にどうにかして欲しいという声が出始めた。そこで2.5メートル程のところで下枝を切りそろえた。枝先を切ると、垂れ下がった枝がすうーと上がる。雨が降った折に確認をし、もう少し切落とさなくては成らないかも知れない。が、自然に何気なくを心掛けなくては成らない、と思っている。
右の写真は、木下から見上げたものである。新緑の欅の葉は柔らかく、陽を透かして見ると何とも清々しい。
「緑さす」 と言う季語がある。坪内稔典が毎日新聞の季語刻々で、「水原秋桜子編『新装版俳句小歳時記』(2005年)はこの季語を『若葉影が映ること』と定義している。つまり、若葉の光が照り映える感じ、それが『緑さす』である。ちなみに、この季語は『広辞苑』などにもまだ出ていない。俳句発のきれいな言葉として広めたい。」 と書いていた。「若葉」は初夏の木々の初々しい葉の総称で、「新緑」は木々の緑を言い、「新樹」はみずみずしい緑に覆われた木々を言う。どれも夏の季語であるが、微妙に焦点が違う。「緑さす」は、光をフォーカスしていると言う事であり、詠み手の感動の拠り所で、季語が選ばれる。季語の本意、微妙なニュアンスを正しく理解しなければ、と思うのである。