荒川塾句会も、数えて第17回を迎えた。思い起こせば、1991年5月から銀遊句会に参加を許されて句会の楽しさを教えて頂き、少しずつ俳句を学び始めた1998年にスタートである。私は、2000年から朝日俳壇へ投句を始めた事を思うと、何ともおぼつかぬ情況での御声掛けだった。この事を思い出して、改めて恥じ入るばかりなのだが、1年に1度、正月の荒川塾に俳句を持って参集する塾生の緊張と興奮が、17年の歴史を作ってくれた。
出席者9名、出席は叶わずも5名の方から事前の投句を頂いた。悪筆で恐縮ながら何時もの様に、御句を清記させて頂き、壁に貼り出す。この中から主席1句、次席2句を選び、主席に3点、次席に1点というシステムは銀遊句会と同じである。
風の威を悠々と受け冬の雲 神子沢さくら
蒼き月凍林鹿音澄わたり 荻原空宇海
童心を盛り上がらせて霜柱 原田舞蛉
一管の呼吸となりて寒に座す 浅賀信太郎
苦言受け我省みる初夢か 栗原泰弥
紺色に足跡続く雪月夜 菅原悠丹
えつ 鏡 頭上の霜柱 高橋廉蛾
外猫の着ぶくれて歩く朝のまち 横田桜遥
送る身に舞ひおりた過去百合と咲き 新井浄華
入試日にありし日偲ぶ雄飛の志 桜澤銀狼
日差し浴び青女のやうに潤む雪 松浦如南
元日の夕暮れ早く街寂し 権田狂才
裸木に看板の緋色飛びて咲く 藤倉楽富
強慾も高きに負けて木守柿 時田幻椏
欠席の女性2人、さくらさんが15点、空宇海さんが8点と圧倒的な人気を独占した。出席者1位は、舞蛉さんが5点でトップ、信太郎さんが3点、私が主席で頂いた。泰弥さん悠丹さん両氏が2点、桜遥さんと浄華さんが1点、と言う結果であった。恐縮にも我が句も、舞蛉さんに主席でお取り頂いた。
さくらさんは昨年度伝統俳句協会賞の準賞を頂いている実力者である。浄華さんの句は、昨年厳父を送り、今年2人目の御孫さんを頂いている。聞けば、「送る身」は「おくるみ」でもあり、この17音の中に母、妻、子、孫と家族全員の名前を詠みこんでいると言う。超手練れ(てだれ)の俳句なのである。
年に1度の荒川塾句会は、今年も大いに楽しく、盛り上がったのである。