昨日、彫刻家・奥村信之氏と親しくお会いしする機会を頂いた。我が朋友、柳生好彦氏の御紹介である。現在、銀座「一穂堂スタジオ」(中央区銀座1-8-17 伊勢伊ビルB!F)にて、「奥村信之ブロンズ彫刻展」が 2月21日まで開催されている。
柳生君は、奥村信之氏とローマ法王ヨハネ・パウロ2世との御縁で親しくしていると、小豆島訪問の折りにその出会いを語っていたが、私は御名前を聴きながらも放念していた。過日、テレビのザッピングをしていTBSテレビ「世界ふしぎ発見」のスペシャル番組 『世界で出会ったステキな日本人 』 をたまたま見た。イタリア在住の彫刻家を紹介する番組で、大変な御苦労の後、ローマ法王ヨハネ・パウロ2世の胸像を制作し、現在の成功を得たという歴史が紹介されていた。偶然ながら拝見して、咄嗟に彼が語っていた彫刻家は、この方か、と思た。 翌日、柳生君から「奥村先生テレビ出演」を知らせる手紙が届いた。私は、知らせの無いままに番組を見ていた不思議な必然と、見逃がさなかった事に安堵を覚えていた。
柳生君が上京し、御案内を頂いてこの機会を頂いたのである。
7日放送の視聴率も高く、反響の大きさにテレビ・メディアの力を感じた、と仰っておられたが、直接お伺いする御話は、興味深い事が多く、楽しかった。イタリアでの収録時、バチカンのベルニーニの胸像を、そのディテールまで身近に拝見、観察する事が出来たと言う。その経験談もその一つで、大変面白く語って下さった。左の写真は、今回の個展に出品された作品の中で、私が一番好きになったものである。小さな作品ながら、作家の大きな思いが詰まっている様に思えたのである。
今回の個展のカタログに書かれた、一穂堂オーナー・青野恵子氏の文章を掲載しておく事にする。
奥村信之氏の益々の御活躍を祈念したい。
「 奥村信之は、ローマ郊外ブラッチャーノ湖畔の 古代人が残した洞窟をアトリエにし、抽象が大勢を占める現代彫刻にあって、あくまでも「具象」にこだわり、イタリア人でさえほとんど後継者のいなくなった ギリシャ、ローマ時代の古式密蝋型鋳造(イタリアン・ロストワックス)で作り続けている。仕上がり時の、粉が吹き出したような鋳造肌の美しさを特徴とし、師である巨匠エミリオ・グレコの教え通り、伝統を大切にし、ぬくもりのある血の通った作品を、実力を見抜く職人達に師事されながら創作。2003年10月 在位25周年を迎えたローマ法王ヨハネ・パウロ2世の胸像を 奥村信之が制作。そのブロンズ胸像を 法王ヨハネ氏が大変気に入られ、亡くなられた後、ローマバチカン大教会の中心にある図書館の ハート・オブ・バチカンに飾られた。2006年にはベネディクト16世像を 同じくバチカンに奉納した。この胸像の隣には ベルニーニの彫刻があり、奥村氏は話題になった。その話がこの2月7日、TBSテレビ、クイズ「世界ふしぎ発見」にて放映されることになった。ヨハネ・パウロ2世の像をはじめ、ギリシャの神々や、日本の仏像など、約30点が並ぶ古代ギリシャのテクニックそのままの、世界が認めた奥村信之のブロンズ彫刻を 是非ご覧頂きたい。 青野恵子 」