雨の月曜日である。
緋寒桜と辛夷の花は、桜「熊谷」の咲揃うのを待って大方散ってしまった。 この季節、1週間の風景の変化はすこぶる速やかである。
「熊谷(くまがい)」は、小彼岸桜の八重化したものと言う。ピンクの色濃く、何とも繊細な八重桜である。八重とは言っても過剰さは無く、透明で小さな花弁は優しい。
2日、万平公園の染井吉野の夜桜を見た。微かな芳香と優しげな桜の花の奥底に、人を誑(たぶら)かす妙な気配と気取りを感じたのだが、「熊谷」の花には、その邪気が無い。
桜は、全ての花が咲揃うまで一片の花弁を散らさない と言う。今日の雨は、桜を散らす程の影響はないと思う。学童、学生達の入学式、始業式に、満開のそして桜吹雪の中で記憶に残る新たなスタートを切らせて遣りたい、と思うのである。