本日、宮代町進修館に用事があり、羽生経由で宮代町に出掛けた。
埼玉に住む私だが、県東部の街を知らない。小さな世界で生きているから、思えば埼玉の街を殆ど知らないのである。ルートを検索すると、秩父線で羽生に出て、東武伊勢崎線の羽生駅から東武動物公園駅に出るのがベストの様である。
秩父線も秩父に出掛けるためには良く利用するが、熊谷から羽生へ秩父線で行く事は我が人生、初である。勿論テリトリーを異にする私は、東武伊勢崎線を使う事も初めてであるから、何とも心細い。隣接する私鉄2駅を乗り継ぎ、飛び乗った電車は久喜駅が終点、乗り換えて東武動物公園へ向かう頃には暮れなずみ、上弦の月は暈を被って、切なさは増すばかりである。駅前ロータリーは仄暗く、駅に向かって歩いて来た地元の女子高生であろう二人ずれに進修館の方向を聞くと「知りません・・・」となんとも冷淡な返答。不審者にはこう答えなさい、と言う紋切り型の返事に我が動揺は増すばかりであった。暗い街角に進修館を見つけたが、異形の館は陰鬱の空気に沈んでいた。私の知人の姿は進修館に無く、不在の迷路に迷い込んでしまったらしい。何とも無為な時間に押しつぶされながら、また同じルートを戻った。
暈つく月の野良三匹の子猫引き 東武動物公園駅から乗った電車は、また久喜駅が終点、連絡の悪い始発電車で羽生へ、重ねて連絡の悪い始発電車に乗って熊谷に帰って来たのである。
2輌の始発電車に乗客はまばらで、発車を待っていると不思議な光景に出くわした。
始発駅残る蚊にしこ女が息を吹き
車輌の床に這う螻蛄をただ見つむ
なんともグルーミィ―な小旅行だったのである。