日本建築学会関東支部創立70周年記念として、前回東京オリンピック開催前後の60年・70年代の名作建築を関東支部所属の7支所から1件、東京から2件の推薦を頂き、見学会を通して再評価とその意義を再考しようという「名作を見る」シリーズが行われている。すでに6月からスタートし、東京都の林昌二設計のパレスサイドビル、丹下健三の国立代々木総合競技場、神奈川県は前川國男の県立音楽堂の見学会が終了している。
この24日、埼玉支所主催による見学会は、「埼玉会館」を会場に開催された。
埼玉会館は、1926年に建設された岡田信一郎設計による旧埼玉会館の老朽化にともなう建替えにより、1966年、前川國男の設計により竣工。現埼玉会館は、大ホール(1514席)、小ホール(504席)3室の展示室、15の会議室、和室、ラウンジ、レストラン、機械室、地か駐車場からなる総合文化施設で、敷地の高低差を生かして敷地面積の2倍の床面積となる建築を60パーセント地下に埋め込むことで構成されている。
埼玉会館は、前川建築の代表作のひとつであり、次の50年へ向けて大規模改修工事を終え今春リニュウアル・オープンしたばかりである事からも、埼玉支所としてこの建築を推薦させて頂いた。
今回、前川建築設計事務所 代表取締役 橋本功所長を講師に御招きし、御講演を頂いた。前川建築をこよなく愛し、その思想と精神を正しく継承・継続させるために最大限の情熱と愛情をもって活動為さる建築家のひとつの生き様を拝見し、大いなる共感を持ってプレゼンテーションを拝聴させて頂いた。
埼玉会館は、「エスプラナード」と建築全体を打ち込みタイルで構成した初期の公共建築であり、埼玉県民の誇る名建築である。
橋本氏は、「エスプラナード」成立までの設計プロセスを御紹介下さり、前川の苦悩と都市環境への公共建築の可能性への挑戦を熱く語って下さった。
講話の後、会館の内外、大ホールとバックヤードまで、大改修に伴う変更部分の詳しい解説等、橋本所長には御尽力を賜り、極めて密度の高い見学会を催す事が出来た。
関東一円から御参集下さった40名を超える参加者の皆様、この日の為にお手伝いを頂いた支所役員の皆様にも、心から御礼を申し上げたい。
又、この見学会開催に当たり、御配慮を賜った埼玉会館 山海隆弘館長を始めスタッフの皆様にも感謝である。
ありがとうございました。