昨日秩父で、山谷哲夫氏出版記念祝賀会が開催され、参加した。
山谷氏は、「沖縄のハルモニィー 証言・従軍慰安婦」 「バンコク観光売春 買われる側の生活と意見」など、ドキュメンタリィー映画の監督として活躍、また「じゃぱゆきさん」(岩波現代文庫)、「ノンフィクション映画史」(双樹社) など多くの著書をお持ちで、今回宝島社新書「B級自由民 宣言!」を上梓された。事前に、この本にも登場する浅賀信太郎君より御恵贈頂き、拝読しての参加である。帯には、「体験と取材から生まれた 究極の 生活サバイバルガイド!!」と銘打たれ、我らが団塊世代 「中高年必読の書」 と書かれている。
私は、B級という自己認識にある種の違和感を持っている。大いに突っ張ってA級と思いたいし、現実のリアリィティーからは間違い無くC級、それ以下であることも自覚している。著書を読み出すと、貧しいながらも豊かなな知性とライフスタイルを通し、A級を凌ぐ高邁な人生を謳歌しよう、と言う事らしい。ネガティブな自己規定に同意出来ぬまま読み進むと、読後の印象は善人山谷さんの本だなあー、としみじみ思う。基本的に人間が好きで優しいのである。祝賀会にあわせ上映された1971年制作の 「生きる 沖縄渡嘉敷集団自決より25年」 も極めて厳しい歴史と記憶を背負った島民に対する彼の優しい眼差しを感じた。歴史の真実を追い求める前半と、その事実を抱え笑い踊る島民を同じ分量で映しだすこの作品に、こうせざるを得ない彼の心情を見ることが出来る。「B級自由民 宣言!」はこの人の本なのである。
山谷さんには 「私も、早くB級と自己規定出来る様、頑張ります・・・」とご挨拶をさせて頂いた。そう言えるまでにはハードな修練がまだまだ必要である事を私は知っている、が。