祖母の葬儀告別式も、多くの会葬者のご参列を賜り無事終了した。後、荼毘に付され、御骨は自宅に戻った。確りとした白い美しい御骨だった。担当者の話では、長寿の方の特徴だという。健康長寿の根源は此処にあるのだろう。
自宅に設けられた祭壇に改めて納められた御骨は、隣組の方々によって伝承儀式「十三仏」が執り行われた。「不動・釈迦・文殊・普賢・地蔵・弥勒・薬師・観音・勢至・阿弥陀・阿閦(あしゅく)・大日・虚空蔵」と「南無十三尊佛名号」が唱和される。先達が鉦を叩き、全員で十三仏の名を唱えながらコップの水を供える。そして又水を汲替えて供え、参加者全員が繰り返し終わるまで唱和が続けられた。廓(くるわ)と呼ばれる隣組みに不幸が起きると、その家に集まり十三仏を唱えるという。死者を送り、新たな関係性と時代を迎えるに当たり、儀式を通して地域の共生感を確認し合うのだろう。初めて、我が家族も全員で参加させて頂き、地域共同体を維持する深い知恵を垣間見させて頂いた。全てが合理で処されてしまう今日、不合理ながら「十三仏」に地域の持つ優しさと強さを実感した。この様な伝統行事を持つ地域の豊穣さを羨ましく思い、是非末永く残って欲しい、と強く感じたのである。