こんなにも世に鋭利なるつばくらめ 幻椏
「つばくらめ」とは、燕の事を言う。つばくろ、つばくらと言う事も有る。周知の渡り鳥で、内地への渡来は春、と言う事で春の季語に成っている。が、私は5月を思う。今日、我が家の上空を数羽の燕が飛んでいた。私にとっての初燕である。
燕は、何と言ってもその飛翔の姿である。力強くスピードもあり、変幻自在の飛行は何とも独特で魅力的である。
ある時車で打合せに向う折、フロント硝子の前を猛烈な飛翔で燕が横切った。街中を低空で飛ぶその姿は、何とも鋭利な刃物で画面を裁ち裂いた様な印象だったのである。
追伸 : 上記の句は2005年6月、朝日俳壇 金子兜太選の首席句で、幸運にも年間秀句10選のひとつに選ばれた。「燕の飛翔は鋭い。子燕が加わって数の殖える夏場ともなれば、上5中7のような詠嘆はさらに」 の句評を頂いている。