灯台の明滅涛波とふ秋思 幻椏
この15・16日、横須賀市にお邪魔していた。横須賀港の海は静かだった。意味ある時間だったので、改めてこのブログに書き留めなくてはならないと思っている。
今朝、嬉しくも朝日俳壇に我が句が入選していた。今年6回目となる入選で、不遜ながらも年間6句の入選を内なる目標にしていたので、ありがたい事である。
今日の句は、10月末、熊野古道への旅で得た1句である。神話と信仰の世界遺産「熊野古道」の旅にはいささか不似合いな、2000人収容と言う巨大な勝浦温泉「ホテル浦島」に一泊した。料理も施設もサービスも馴染めず、気分は落ち込んでいたが、洞窟風呂なる、浴場施設だけは良かった。熊野灘の荒波が打ち寄せる磯の間近にある温泉で、波音は洞窟の中にまで響き、波濤を見詰めながら繰り返される波音をじっと聴いていた。暫らくすると日は落ち,暮行く沖の灯台の赤い灯が強さを増して来た。灯の明滅と、繰り返される波音がある時から同調していく事に気付く。全てのものがリズムを刻み、その全てを抱えて1つの同期を得たとき、何故かたまらなく今在る自分を思っていたのである。
金子先生の句評は、「後半部の独特佶屈な修辞の効果」 と、ありがたいものだった。選ばれる事で、今回も大きな励ましと御指導を頂いた。