我が家の裏を流れる成田用水の川沿いに住む住民の肩肘張らぬ小さな運動が、10年を迎えた。この18・19日、天気にも恵まれて多くの方々に参加を頂いた様である。
成田用水は、荒川六堰から取水された農業用水路で、豊富で綺麗な水は周辺の田を潤す重要な役割を果たして来た。私の記憶でも、鮒やトジョウやザリガニを夢中で取った楽しい思い出や、この豊富な水を使った捺染工場が幾つもあり、この用水で反物を洗って染料で水を染めていた長閑な風景を覚えている。が、昭和30年後半から流域の都市化が進み、用水に生活雑排水が垂れ流され、ドブ川と化して行った。近年公共下水道の整備により大分浄化も進み、僅かながらも昔の流れを取り戻していた。この成田用水をメデュームとして、流域住民のネットワーク作りをテーマに、日頃打ち込み励んでいるそれぞれの作品を自宅に飾り見て頂こうと始まったのが、「川沿い作品展」である。運動は、単なる作品発表の場を越えて、歴史の掘り起こし、環境調査、美化運動と、少しずつ広がりを持って行った。用水改修工事の折には1部底を下げた深みを作る事も出来たし、川の国埼玉・魅力100選に選ばれたり、今流行のユルキャラを押し通しながらも、確実な成果と評価を頂いている。
妻も、初回から参加している。彼女の主催する児童画教室の子供達に、この川沿いを写生してもらい、作品を赤芽樫の生垣に括って展示している。私は、展示と撤収の折に僅かな手伝いをする程であるが、建築学会の友人達が今年もわざわざ訪ねてくれた。見学の後、地域起しやまちづくりの話などを酒の肴に、「川沿い展」程の小さな宴を持ったのである。