樹木医で、我が屋上ビオトープの生みの親でもある造園家の竹花伸行氏が、過日久しぶりに御訪問下さった。屋上ビオトープを見学頂き、その健康さに大変驚いた様である。本日お便りを頂いた。
「過日は、大変ありがとうございました。最近は、小学校のビオトープや幼稚園のビオトープが、以前に比べると多くなってきています。しかし、ビオトープを作るまでは関心を持っているのですが、維持と成ると・・・、ビオトープの本当の意味を知らないで、2・3年すると荒廃したビオトープが現れる事になります。これが現実です。
時田さんのビオトープは、私の希望の星です。どうぞ長く続けて下さい。あんまり、頑張らないで・・・。」
と、優しいコメント付きで、萌芽更新の資料が添付されていた。
写真の様に、屋上に一団の緑が見える。下から見ると、コナラの樹の先端が見えるだけだが、屋上に上がると、30センチの人工土壌の上に欝蒼とした里山の野趣ある風景が見られるのである。妻は、強風に煽られて人口地盤ごとはがされ樹が倒されたら大変、と気をもんでいる様である。
私は、高々20平米の小さな空間のこのワイルドさを愛でているのだが、竹花氏から、「そろそろボウガコウシンの時期ですね。」と言われた。「ボウガコウシン」、この聞き慣れない言葉に私は、興味を持った。「萌芽更新」と表記すると言う。かつての雑木林維持管理の方法で、人間が薪(まき)や炭、しいたけのほだ木等に利用するために、15~20年ごとに、樹木を伐採する。クヌギやコナラなどの樹種を伐採すると、この切り株から、たくさんの新しい芽が吹き、これを「ぼうが・ほうが」もしくは「ひこばえ」と呼ぶ。適切な管理をし、この芽を育て、15~20年後に再び伐採を繰り返す事で雑木林を維持する方法を 「萌芽更新」 と呼ぶのだと言う。我が屋上ビオトープが、一時代、サイクルを超えたと言う事である。竹花氏に御誉めの言葉を頂いたからには、屋上ビオトープの維持管理に努め、良い時期に萌芽更新をさせて頂こうと思っている。
「萌芽更新」、何と嬉しくも意味深い言葉である。