今日で9月が終わる。すだく虫の音を聞きながら、特にこの季節、日本人の脳を思う。正しくは、日本語を習得し母国語として使う人間の脳を思うのである。
角田忠信の名著「日本人の脳」によれば、日本人は右脳で、音楽・西洋楽器音・機械音・雑音を処理し、残りの言語音・社会音・邦楽器音・計算などを左脳で処理する。外国人は右脳で、音楽・西洋楽器音・機械音・雑音・社会音・邦楽器音などを処理し、残りの言語音・計算などを左脳で処理する、となる。つまり私達は、すだく虫の音は左脳、一般に言う言語脳で聞いている、と言う事である。実は、風のそよぎも、小川のせせらぎも全て左脳で聞いているのだが、殊の外、秋はこの日本人の特徴を思う。
右脳は音楽脳、左脳は言語脳と言う分類は、極めて西洋的である。西洋人は、左脳がロゴス(言葉) 右脳がパトス(言葉でないもの)に作動し、日本人は、左脳がこころのあるもの 右脳がこころの無いもの・ただの物に作動する、と言う。極めて面白い分類であり、妙に納得する。
この日本語脳は、情況を丸ごと「コト」としてとらえ、その「コト」と人間の関わり方を、人間の視点に密着して捉えると言う基本的発想・認識パターンを持っている。無意識に聞く虫の音に、日本人の脳の特徴を意識するのも悪くない。もう一度、意識して虫の音を聞くと、違って聞こえて来るかも知れないし、忘れていた多くの発想を改めて獲得出来るかも知れない。
私は、マーケティングの意識的深化と拡大を、「モノ」 「コト」 「イミ」、そして「ココロ」へ、と言い続けて来たのだが、私自身、今日の我が状況の中で虫の音に耳を澄まさなければならないと、今、改めて意識し反省しているのである。
たまに心を掘り返さないと、硬く固まってしまう。
明日から10月である。
今日も宜しく