暮れに友人から篠笛を頂いた。還暦のお祝いに龍笛を頂いたのだが、これはどうにも歯が立たない。教則本も無ければ、指導者も居ない。ただ無常の風の音と、時折突然の音が何故か出る程で、それ以上には成らない。「龍笛は無理でも篠笛ならば・・・」 と迂闊にも友人に言ってしまった事がある。私はすっかり忘れていたのだが、暮に篠笛が届いた。吃驚である。友人の御義兄が篠笛師との事で、御手作りの貴重な笛である。こうなれば、是が非でも音を出し、1曲1年の内に演奏しお聞かせしなくてはならない、と思ったのである。勿論彼にもその旨お話をした。昨夜、新年会で友人に会うと、すかさず笛の成り行きを尋ねられた。御指示頂いた教則本をオーダーしたが未だ届いていないので、兎に角音を出す練習をしている事を伝えた。幸いにもドレミファの音階が吹ける様に成って来た。ただ、家族には極めて不評で、ただのノイズ、いやそれ以上の不快な騒音で、妻と娘は、篠笛を隠してしまおうと共同謀議をしているらしい。
新年会の後、天才ケーナ奏者光君が来熊していると聞き、会いに行った。天才ギタリスト池田さんもいて、楽しい会に成った。彼らの演奏をおねだりし、皆で楽しませて頂いた。ケーナは音が出ない、音が出るまでに至らず放棄をしてしまう難しい楽器だと聞く。光君にケーナをお借りして、少々の御指導を頂き、息を吐いてみると、ミの音が出た。これはすごいと有頂天に成り、なんと今、そのケーナをお借りして我が手元にある。家族には嫌われながらも、篠笛とケーナ、喘息で肺活量の落ちた我が身ながら頑張らねば、と思うのである。古希のお祝いには、池田さんが私とデュオを組み、コンサートを開いてくれると言う。我が人生、初の音楽に関われる期待に胸膨らむのである。