春愁やここにも赤きマックドナルド
春愁や屋根にボール投げボール受け 幻椏
「歓楽極って哀愁湧く。春は人の心がはなやかに浮き立つがその半面ふっと悲しみに襲われることがある。気がふさぐとか、憂鬱とかいうはっきりしたものでなく、そこはかとない春の哀愁をいうのである。」 角川書店編 合本俳句歳時記新版 による春愁の解説である。金子兜太編 現代俳句歳時記 には、「春は人の心を浮き立たせるが、その半面、ふっと物思いに沈むことがある。その物思いをいう。」 と簡潔に記されている。
要諦は、強い愁いでは無く、心の隙間にふっと思う淡い心の動きと言う事である。
「我貌」に春愁の句は無く、「地貌」には掲句の二つが載っていた。初学の頃は、春愁と言う難しい季題を使い切れなかったのだろう。極当たり前の風景や何気ない行為を、ふと意識した時のアンニュイな気分が春の愁いに外ならない。我が句の気分を、おひと方でも 「分るな」 と思って頂けたらありがたいのだが・・・。
私のブログに、こんなカテゴリィーがあった事を忘れていた。1年を超えて、随分と久し振りである。我が2冊の句集を繰りながら、気になる季語、俳句を改めて見直すのも良い事かも知れない。