民主党大敗の選挙結果を受けての全国世論調査(朝日新聞)によると、菅内閣の支持率は37%と微減、不支持率は46%に増加しているにも関わらず、敗北の責任を取って首相を「辞めるべきだ」が17%、「辞める必要は無い」は73%を占めたと言う。この数字は、今日の政治状況における内閣への不審を感じながらも ここでまた総理大臣の首をすげ替えると言う民主党の内部問題に無用なエネルギィーの浪費を欲しない国民の本意、と納得できる。敗因を消費税と言いながらも、消費増税の議論を「進めた方が良い」とする意見は63%とも言う。
今日の数字を見ながら、昨日毎日新聞で語られた山崎和正の指摘を改めて面白いと思った。「私は今回の選挙に関する限り、菅さんは最高の手腕を発揮したと思う。私の倫理感覚から言えば、民主はゼロ議席でも良かった。常識的に世間の見る目を考えても30議席がいいところだったろう。菅さんはいきなり何の準備も根回しもなく、増税問題を出す事で、政治と金や普天間問題について、完全に目くらましをやった。菅さんは30議席になるのは嫌だから、せめて40議席台に乗せようと思って、消費税を持ち出す作戦をやったのだと思いたい。」 と言ううがった見方も、情況の中であながち嘘ではないと思うからである。選挙勝利至上主義の中で消費増税論を持ち出した勇気を、菅首相の戦略の本意を超えて、私は評価していた。これで、進むべき方向性への楔は打ち込まれた、と思う。増税の前に遣るべき事は、沢山ある。方向性が定まってこそ、国民の覚悟と行動のリアリティーが担保されると思うのである。
世論を解析する世論調査という統計結果に、国民が大衆誘導されているのではないかと思う事がしばしばあった。私達は、自説を確り持ち、ポピュリズムに流されない賢さを持たなければならない。捻じれた政治状況をチャンスとして自分の立ち位置を明確にするために、真摯な国会での議論を期待し、注目して行かなければならない。