最近無い物が見えたり、いや幻覚と言う程のロマンティクなものでなく、ふとした瞬間目の片隅の平面の位相に捻じれがあるとか、ささやかな違和感なのだが、昨夜から、(正しくはここ暫くなのだが) 左目の先に虫が飛んでいる。これを飛紋症と呼ぶらしいが、結構煩わしい。始めは、蜘蛛の巣に引っかかった小さな虫が解放されぬままに我が顔面の前を飛んでいると思い、何度も頭を掃い、顔も洗ったのだが変化が無い。一晩寝ればと高を括って居たのであるが、今朝は、虫が群れをなしている。親しい眼科医も今日から夏季休業の様で、連絡も取れず、暫くはこの状態が続きそうである。
そう、夜中に蝉の鳴き声が止まらない。夜を無くした現代に対応した蝉の進化と思っているのだが、聴蝉症かもしれない。俗に言う耳鳴りで、私の場合油蝉の鳴き声に近いので聴蝉症というと、ぴったりである。
夜に鳴き止まぬ蝉進化かと思ふ 幻椏
この辺の事は全て老化の一言で片付けられてしまうのだが、生き続けるとは真に厄介なことである。
我が社も、明日から夏季休暇に入る。お盆である。友人の建築家は、「私のところは神道なので、お盆にはあまり関係なく、仕事をしていますので・・」 と連絡を頂いた。が私は、結構この時期忙しい。思えば近しい方の新盆も、例年になく多い様に思われる。私にとっても 「こんな世代に成ったのかなあ・・」 と、この夏を受け止めている。