8、9、10日と我がブログへの訪問者数が異常に多かった。すでに昨日から通常のカウントに戻っているが、いささか不気味である。過去にも、衆議院選挙の折にも同じ現象があった事を思うと、ポピュラリティーの獲得とは遠い理由からの様である。折角御訪問下さった方々には、引き続きの御訪問を切に御願したいものである。
私が、秘かに憧れている俳人、
青萄さんの俳句ブログに面白い記事が出ていたので紹介させて頂く。私は、御句を拝読した折、ソンクランを知らず、恥かしくも意味不明の句であったが、後日の御説明で、成る程と思ったのである。内田樹教授も、一神教と多神教の神への振る舞いの差を、原発に対する対応の差として書いていた。原発は、神の領域への人類の越境なのかも知れない。
ソンクラン浄めにかける春の水 青萄
(ソンクランきよめにかけるはるのみず)
ある早春の午後、魔王が巨大な地響きと共に人間界に降り立った。
以下は新聞に載っていたタイの水掛祭(ソンクラーン)の由来譚である。中国雲南省タイ族の方から聞いた話、と注釈が出ていた。(※私なりの要約・脚色)
あらゆるものを破壊し、生命を奪い、一面を廃墟にしてしまう魔王の力は強大で、人々はなすすべなく逃げ惑うしかなかった。かろうじて生き延びた人々の間にも、苦悩と絶望が広がる。
さて、魔王を亡きものにするにはどうしたらよいだろう。
彼の体は不死身で、水に溺れず火に焼けず、あらゆる武器もはねつける’変幻自在’だ。かつて魔王にさらわれてむりやり妻にされた7人の女性たちが、日夜秘策を練り相談をした。
ついに7番目の妻が魔王の秘密を探り当てる。彼自身の髪の毛でその首を締めれば死ぬかもしれない。7番目の妻は自分が犠牲になろうと思った。そうすれば他の万人が救われるのだ。
彼女は魔王を酒に酔いつぶれさせ、ついにそれを実行した。・・首はゴロリと地上に落ちた。
しかし首はたちまち火を吐き、流れる血は炎となって燃えさかる。そこへ駆けつけた6人の妻たちは・・。1番目の妻が炎の首を胸に抱きかかえた、するといったん火は収まった。が、下へ置くと火は又燃え盛る。
7人は一年交代で首を抱くことに決めた。一年後次に渡す時、妻の体に付いた魔王の血を洗い流すために、人々は彼女に向かって水をかけた。
7人目が抱き終わった時、首は完全に死に絶え、もう二度と火も吐かず血も流れなかった。
人類の滅亡を命がけで救った7人の、勇気ある行動を永遠に忘れぬために、人々は毎年タイ暦の正月(4月)に水を掛け合うことにした、というのである。それがソンクラーンらしい。
人類の科学の粋を集めて作られた銀色の殿堂が、たちまち地球を攻撃する魔物に変化(へんげ)し、我々に襲いかかっている。TVに映し出されるあのゆらめく4つの塔は・・変幻しながら歩きまわる魔王の4つ首だろうか・ (青萄)