高音を陽(ひ)に投げつけて雲雀落つ 青萄
青萄さんの上記俳句を拝読し、「良い句ですね。『高音』を3音で読ますか4音にするのか、青萄さんはどう詠んだのでしょう。」 とコメントを投稿した。
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投稿者:青萄
こんにちは幻椏さん。
こんのさん経由で先ほど知りましたが、首席入選だそうですね、おめでとうございます。
締めるところは締めてきっちりまとめてきましたね、いつも思いますが流石です。
>地震(ない)津波棄郷の民に花吹雪 熊谷市・時田幻椏
さて「高音」ですが、「硬音」にしても良かったかなぁ、なんて。3音というと「たかね」でしょうか・・要するにフレーズがまだこなれていませんのです。
これではどうでしょうか?→ 一声を夕日に投げて雲雀落つ
これも時田さんならもっと上手に軌道修正されるのでしょうね。
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投稿者:幻椏
「青萄さんは確り有季定型をお守りの方だから、4音なのだと思いながらも、「たかね」を「投げつけて」と言い切る潔いリズムがストレートに私には入って来ました。「破調とは韻律である」と言う 仁平勝 の弁を借りれば、私はまさに、その事を証徴する一句として拝読いたしました。
我が句は、御取り頂いた事には大感謝ですが、単にスノビズムに倒し込んだだけのものです。
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投稿者:青萄
幻椏さんこんにちは、久しぶりに特徴あるご高説を拝見し嬉しい限りです。
入選句ですが、もとより何かひっかかるのでした。いくら巨大であったとしても地震と津波くらいでは・・誰も棄郷などしないのではないか、という疑問です。
まさに、後ろ髪引かれながら棄郷せざるを得ないのは、「原発事故警戒レベル地域」の民だろうと。私の記憶では、幻椏さんは原発問題には積極的に触れておられなかった。句にもそれを外したわけが何かおありだったのでしょうか。
青萄さんの問いに、私はある種の逡巡を覚えた。青萄さんは、この間、原発問題を盛んに俳句に詠み込み、秀句を排出している。しかしながら私は・・・、改めて我が句帳に原発関連の句を探して見た。
被爆とふ歴史が記憶白梅散る
目に見えぬ春塵として放射線
目に見えぬもの皆清し春の海 幻椏
3月11日以降、震災関連の句を多く詠みながらも、原発事故に関係するものはこの3句だけであった。4句目の句は、金子先生の句評の通り「歌い過ぎ」で、例えば、「花筏」と言う季語を斡旋する事を意識的にひかえている。
改めて問われると、私の原発に対する曖昧性を突かれた思いがする。原発事故と言う問題は、遠い風景の中で動いている様に思いたい、と言うある種の拒否が無意識に在ったのだろう。
アメリカの何処かの研究機関で、同種同型の原発が、電力停止、冷却機能を喪失した後の原子炉の状態をスーパーコンピューターでシュミレーションしていたと言う新聞記事を、事故発生直後に目にした事を良く覚えている。現実に起こっている事態は、まさにシュミレーション通りで、すでにメルトダウンは起きている、と言う記事だったのだが、その小さな記事は2度と目にする事も無く、以後、今思えば曖昧な報道へとシフトして行く。今日までの一連の原発報道は、一体何だったのだろうか。何時の間にか知らぬ内に、小出しに出された情報の中で自分の位相も、恐怖感さえも曖昧にして、慣性の中に在るのも事実である。
「外したわけが何かおありだったのでしょうか・・」 と問われても答えに窮して、「いや、別に・・」 と、恥かしくも明確に答えられない私なのである。