11月25・26日と、建築災害防止協会埼玉支部熊谷分会主催の研修旅行で、初冬の信濃路を訪れた。熊谷市、深谷市、本庄市、寄居町に本社を置く同業者の安全指導員、また建災防埼玉支部白石事務局長の参加を賜り開催された。私も、今年・来年と2年分会長の任にあるので、参加をさせて頂いたのである。
まだ明けぬ真っ暗な早朝6時に熊谷を出発、本庄を経由して三菱電機㈱中津川製作所飯田工場に向かった。久し振りに朝日の昇るのを見、初めて上州から富士の頂を見た。
長野県最南部飯田市に在る三菱電機㈱中津川製作所飯田工場は、換気扇とソーラーパネルのセルの生産工場である。エネルギー問題の喧しい中、太陽光発電と言う時代の要請に対応する最先端の現場を見学しようと選ばれた。4時間半のロング・ドライブの後、10時半に飯田工場に到着。ガイダンスを頂いた後、換気扇の製造工程、ソーラーパネルのセル展示コーナーを見学した。残念ながらソーラーパネルのセル製作工程は、秘守スペースと言う事で、直接の建学は叶わなかった。太陽光発電は、ソーラーパネルの製作コスト、パネルのた耐用年数、補助金、売電単価等の複雑な関数の中で成立するものであり、進むべき方向性は確認しながらも、まだまだ完全なシステムに成っていないと思う私は、ソーラーパネルの耐用年数、能力の経年減衰などを質問させていただいたが、確かな答えを頂けなかった。実は、これが現実で、再生可能エネルギーの弱点がここにあり、これをどう認識し取り込んでいくかが今後の問題であろうと、改めて思ったのである。工場の外周は林檎の木がぐるりと植えられ、たわわに実った林檎狩りを楽しませて頂いた。
午後は、妻籠宿を見学した。ひさし振りの訪問である。妻籠宿保存事業は古く、町屋を対象とした歴史風土を守る観点から解体復元・大修理・中修理・小修理に分類し、復原・修景が実施されると共に、昭和43年に「妻籠を愛する会」を設立している。「売らない・貸さない・壊さない」と言う地元住民を中心とした観光的利用保存事業への御努力は、昭和51年、全国初の「重要伝統的建造物群保存地区」に選定され、今日の成功を得ている。
歴史的景観と言うノスタルジーを超えて、この快さは自然環境との一体化とモノトーンの美しさに在ると思っている。変わらざるを得ない時代状況の中で、改めて価値の転換の方向を確認した思いである。
その日は、昼神温泉に宿泊。翌日は、長野の善光寺、東山魁夷館、小布施を散策して岐路に着いた。
2日間の旅程をご一緒したバスガイドさんのクレバーな配慮と、JTB新人添乗員の奮闘にも感謝である。