本日は、早朝7時前に家を出て夕刻7時前に帰宅と言う、熊谷法人会の研修旅行だった。友人や叔母から入選を祝うメールが入っていたので、出発前朝日俳壇に目を通し、入選を確認しながらも慌しく家を出た。
夕飯を済ませて、やっとパソコンの前に座れたと言う次第である。
散り果てて樹下よりの空陽は樹下に 幻椏
「陽光の樹下に空を仰ぐ。さあ出発。」 金子兜太選 次席
寒鴉何を見透(みすか)
し吾に鳴くや 幻椏
「寒鴉は一体何が言いたいのか。鋭い鳴き声が気にかかる。」 大串章選 主席
朝日俳壇賞受章後、初の入選である。身に余る受章に、次の入選は無いと思う程に緊張していたのも事実で、今回の入選は嬉しい限りである。重ねて同日2句の入選にも私自身吃驚したが、思えば2010年8月30日に金子先生次席、大串先生10席選以来の椿事である。
金子先生の句評に有る 「さあ出発」 の励ましの御言葉が胸に沁みる。改めて、真摯に俳句と言う最短詩形に取り組んで行きたい、頑張らねばと念じている。
散り果てて・・・ の句は、受章句
樹下に居て天思う音梅雨に入る の対を成す句と意識して朝日俳壇賞発表の後に詠んだものであるから、金子先生に御取り頂いた事は、この上ない喜びである。入梅入り時に天を思い、散り果てた冬に深い空を見上げる、益々私にとって「樹下」と言う特別な位相が、意味有るものに成って行く。
寒鴉は・・・ の句は、見据えられ、見透かされているかの如くに、鴉が私に向かって鳴く。その鋭さに身の縮む程に吾が心は動揺するのである。限りなく綺麗事で生きてきた私の欺瞞、偽善を見抜き、私の恥部を白日に晒す黒い告発者として寒鴉が居る。四六時中、私を監視するかの様に付き纏い、目を上げると必ずそこに居て、我が本性を見透かしたと鋭く鳴く。私の無神経な言葉と行動に傷つけられ苦しむ怨念の人の代理者として、黒い鴉が存在するのである。