人の死は、突然である。如何なる情況、如何なる覚悟をしていても、死は突然にやって来る。義母を見送った。
私の両親は、早くに逝去し、義父も平成20年8月に送っている。たった一人残った親を送ると言う現実に、一入の想いがある。親の代から明確に我々の時代に代替わりし、もう親は居ないのである。
妻は3人姉妹の長女で、両親は岡山出身であるが、仕事の関係で昭和40年に熊谷に住宅を新築・転居してている。実家は我が家からも近く、末妹も市内に嫁いで居るので、母は安心だったと思う。父が脳梗塞を患い、前後して母も軽度の認知症が見られるようになった。両親の面倒と、後の母の介護は二女の義妹が大変に頑張ってくれていた。
デイ・サービスの介護施設で突然に吐血、7月16日 午前2時42分、救急搬送された行田市内の病院で黄泉(よみ)路に旅立った。死因は消化管出血による心不全 享年84歳の人生であった。夫に従順に従い、優しく私達家族を抱擁下さったこの上なく温和な母であった。17日通夜式、18日に葬儀並びに告別式を親族で執り行った。
死者も回りの者も、事態の急変に追い付かず、自分を失ってしまうのが常なのだろう。棺に納められた母の表情が、少しづつ変わって行った。全ての緊張から解放され、自然(じねん)に放たれた顔は、私の良く知る優しい母の御顔になっていた。
大木(おおき)
なる神樹(しんじゅ)
の翼果(よくか)
天を舞ふ 幻椏
熊谷は、今日から3日間、関東一の祇園 「うちわ祭」 が始まった。この処の稽古囃子、そして本番の御囃子が遠く聞こえている。