朝日俳壇入選と同じ紙面、目を引くカラーページの31面に、「経験は遺伝する?異端の学説思わせる研究次々」 と言う見出とキリンのイラストが載っていた。本文を読む余裕の無いままに置いておいたのだが・・・大いに気になっていた。
既に50年も前に成る。熊谷高校1年か2年生だったろうか、学校の図書館前の中庭で、今でも親しく付き合う友人達と、「獲得形質は遺伝するらしい」 と熱く話した事を鮮明に記憶している。
小さな新聞記事に、学習させたマウスの子が、同様の刺激に対し同じ反応をしたと言う記事があったのである。勉強した事は遺伝する、まさに 「獲得形質は遺伝する。ならば自分の為に数学を学ぶだけでは無く、子供の数学脳を作る為にも頑張ろう。」 と言う会話だった。英語でも国語でも無く数学だったが、何故かこのシーンを、忘れられない。
今回の記事、「科学の扉」を見直して見ると、懐かしくも「獲得形質の遺伝」と言う文字も有り、「キリンの首はなぜ長い? 先祖が一生懸命首を伸ばし続けたから、と言う説は既に否定されている。いくら努力しようが経験を積もうが、遺伝子が変わらない限り後天的に手に入れた性質は子に伝わらない。生物学のこの常識が、しかし最近の研究で一部見直されつつある。」 そこで 「経験は遺伝するのか?」 と言う事に成る。20世紀初頭のオーストリアの生物学者カンメラ―は、「獲得形質の遺伝」説を論証しようとして、実験結果の捏造疑惑に巻き込まれ自殺した、とも書いてあった。大変面白い記事なので、多くの皆様も御読みに成ったに違いない。
今までの常識を終える発明・発見の時には、科学界を超えて世間も騒がしくなる。STAP細胞も同様、大きな話題になっている。が、不幸な結末には成って欲しく無い、と願っている。