熊谷市庁舎耐震改修工事 現場見学会が、熊谷市建設業協会の主催で行われた。
本庁舎は昭和48年竣工、すでに40余年が経過し、老朽化も進んでいる。東日本大震災をを経験し、今後起こりうる大震災に備える事が急務と言う状況で、設計・施工一括プロポーザルコンペにより、大成建設が受注している。充分な耐震性を確保し、庁舎を使用しながらの工事であるから、その難しさは想像を超える。工期は、平成26年12月から28年3月末日、先行準備工事を含めて17カ月と言う。
熊谷は地下水の水位が高く、地下水に対する対応が極めて難しい。渇水期の現在も、毎分1トンの地下水を深井戸を設置しポンプアップで地下水位を下げての工事であると言う。
水を止め、既存杭に支えられた基礎の底部をミニショベルで掘り進め、耐震ピットを新たに造る為にマットスラブを新設。オイルダンパー、積層ゴム支承、弾性滑り支承を組み合わせたハイブリット免震工法で建物を支え、後に杭を切断して耐震改修工事が完成する。
事務棟は、通常通り使用を続けながらの工事であるから外からは工事の様子は計り知れないのだが、仮設の階段で地下の工事現場に入ると、想像を越える風景が現れた。建築物の基礎の下に免震装置を付加すると言う極めてシンプルな発想を、現物として実現させてしまう設計と現場力に、感嘆するばかりである。
工事は順調に進み、工期内に完成すると言う。私でさえ計画と工程に思いを巡らせ、大いに興奮したのだから、直接現場を担当する工事監理者、建築関係者には、この上なく楽しい現場であろうと思われる。可能であるならばこの機会に、是非現場見学をお勧めしたい。
また完成後には、多くの方々も地下の巨大装置を見学出来る様に工夫がなされれば宜しい、と思った。建築に対する不信感のある今日、建築のロマンを充分に感じる事が出来る地下の耐震装置になるのではないだろうか。
意義ある見学会に参加させて頂いたと、感謝している。