19日、午前11時から東京お茶の水の山の上ホテルで開催された、第13回「さろん・ど・くだん」に参加する機会を頂いた。今回はドナルド・キーンさんとキーン誠己さんをお招きして、『黄犬(キーン)ダイアリー』出版祝いと誠己さんの古浄瑠璃(三味線の弾き語り)の演奏会である。
ドナルド・キーンさんの御挨拶に続き御養子の誠己さんの古浄瑠璃の演奏が披露された。演目は「越後國柏崎・弘地法印御伝記(こうちほうでんごでんき)」、事前に配られた資料に目を落としながら30分余の古浄瑠璃の謡と演奏を拝聴した。浄瑠璃を聞く機会もなく、まして古浄瑠璃など兎に角初体験である。混迷の世界に放り出されたままにその熱演の謡を、資料に書かれた歌詞を目で追い続けて拝聴した。
演奏後、御礼の御挨拶に立たれた金子兜太先生から、幼少期の産土、秩父の思い出が語られ、今日の古浄瑠璃に涙の出る程の思い入れをして聴いたと話され、幼年期に村で流行したと言う浄瑠璃の一節を謡う程の大サービスで、会場は大いに盛り上がったのある。
先生に御挨拶をさせて頂いた折、「最近、朝日俳壇に投句の句は良く無い・・」と極めて率直な御批判を頂いた。大変気になり、帰り際に再度、何が駄目なのかをお聞きした。「一回に10句も投句して、みんな暗い、何かあったのか・・、どうしたんだ。」と仰る。思えば、幾週間か前、毎週金曜日に行われる朝日俳壇の選句に間に合うように週初の投函を心掛けていたのだが、それが叶わぬままに当週の選句に間に合わず、次週2回分の葉書をお見に止めて下さった様である。多数の暗い駄句を不快に思われたのだろう。それが我が力と思いながらも、大いに緊張したのである。
その夜熊谷で、荒川塾の忘年会が開催された。1985年から毎月休む事無く続けられている我らが荒川塾だが、久しぶりにカラオケの忘年会になった。塾生諸君の歌は皆上手で、私も負けずに頑張った。塾の最後の曲は、20数年前から決まっていて、来生たかおの「グッドバイ・デー」、アリスの「遠くで汽笛を聞きながら」、バブルガム・ブラザーズの「ウオント・ビー・ロング」を全員で合唱熱唱し、今年最後の荒川塾を閉じた。
そして昨日は、日本建築学会関東支部役員会。その後、45年間、濃い友情を引きずって来た旧友と赤羽の快い場末の居酒屋で、ビール、日本酒、ポッピーと最終電車まで大いに語り飲んだのである。決して心穏やかならざる2016年であったが、こうして1日1日を消去しつつ、今年を終え様としている。