8月の銀遊句会は2日、座主・黙去子さん、兼題は「故郷」で開催された。
相変わらず命に危険を及ぼす炎暑は続き、皆様それぞれに苦痛に満ちた表情で東京銀座、真只中の句会場に集合して来た。
とは言え、兼題による句のクオリティ―は予想以上にあるのか、今回は秀句が揃い、選句も難しい程に充実した句会と成ったのである。
故郷は金魚の如し寄れば笑む 逮歩
故郷の長押に蚊張(かや)
の吊り手跡 孫歩
故郷は縮みたりしか盆帰省 翌檜
サングラス外して故郷の駅に立つ 季楽
故郷無く在所定住御羽黒蜻蛉 幻椏
郷土(さとつち)
を掻き捨や銀シャベル のどか
故郷へ車窓は知らぬ夏の街 丹水
溽暑まとい思考停止の我が祖国 典女
故郷の遠くなりたる夏野かな 智之
ギーギー蝉鳴くふるさとや緯度高し 草子
古里は汚泥瓦礫の酷暑かな 黙去子
「
故郷は金魚の如し」の逮歩さんの句は、孫歩・典女さん、そして私が主席に取り9点を獲得。久し振りに有無を言わせぬ秀句に出会う事が出来た。「
長押に蚊張」の句は、季楽さんが主席、翌檜・逮歩さんと私が次席に選び6点獲得。これも見事な句である。「
故郷は縮みたりしか」の翌檜さんも高得点を獲得。我が熊谷出身の先輩達が、力を発揮した。特に逮歩さんのロマンティシズムと孫歩さんのリリシズムが際立ち、御二人の目指す俳句の方向性を見事に詠み切った、と私は思っている。
主席1句、次席2句を選ばなくてはならぬ制限が煩わしい程に、秀句・佳句の揃った8月の句会になった。皆様の句を拝見しながら、我が詩性の無さ、柔軟性と感性の広がりの無さをしみじみと感じさせらてた今回の句会であった。
完敗、今日こそ恐れ入りました。本当に楽しい句会でした。只々、感謝。