チガヤ伐根の土を掘り返していた時、艶のあるピンポン玉程の小さな球根が2つ出て来た。何の球根か判らぬまま隅に改めて埋め戻して置いた。実のところその事さえ放念していたのだが、突然異形の芽が吹き、あっという間に伸びて、曼珠沙華が咲いた。ステイホームの続く中、車を乗り出す事も無く外の風景を知らないので、今年の初曼珠沙華は屋上ビオトープか、と思っていた。チガヤに隠れていた曼珠沙華が、頑張って季節の今を私に教えてくれている、と嬉しく思ってもいたのである。
今日、親戚への彼岸の挨拶回りで久し振りに郊外を走った。彼岸花が赤く染めているはずの畦道を、車窓から注意して見ていたのだが、赤い花は何処にも見当たらない。雑草に交じり目にする色は、ノビルかニラの白い花ばかりである。昨日19日から彼岸の入りと言うのに、彼岸花がない。異常な梅雨の長雨と猛暑の影響なのだろうか。屋上に危うい曼珠沙華を見て居ながら、畦道には皆無の彼岸花である。
常ならざる今年を思い、異常な世の中の歪みを恐ろしくも感じるである。