50リットルの鉢に一片の蓮根を植えると、一年で何倍にも増える。春の彼岸の頃に蓮根を掘り出し、根分けをして、改めて植え込むのだが、残った蓮根を興味ある方々へお分けしている。私も初め、その蓮縁を頂き、蓮花の虜になった。その感動をお分けしたいと、昨年・今年と私からの蓮縁を拡げている。昨年は近い友人に、今年は天童、東京、寄居、そして今日最後の蓮根を我孫子の鈴木さんご夫妻に送った。過日ご自宅にお邪魔して、広いお庭と、お花大好きな奥様を知り、是非にと無理押しである。本当は随分と迷惑な話だと思う。しかし・・・、自宅で自前の蓮花を見たら、私と同じようにその魅力に取り付かれる事は想像に難くない。夏には美しい蓮花がそれぞれのお宅で見られますように。
実はこの蓮縁の元である人形作家の木暮さん(行田古代蓮をモチーフに人形を製作している美しい御婦人)から、「時田さん、蓮は、心美しい人にだけ花を見せてくださるのですよ・・」と蓮根を頂いた時にプレッシャーを掛けられた。我が家で、私のために蓮が花開くかと随分と気掛かりだった。が、初年度から多くの花を咲かせた。小暮さんに「心美しき私の証明の様に沢山の蓮花が咲きました・・」と報告したら、「お天気が良かったからじゃないの・・」とかわされた。実は、蓮花を咲かせることは、それほど難しくない事を知る。少々心が曲がっていても、充分な日照を与え、鉢に水を絶やさず張っておけば大丈夫、である。
慈悲の縁繋ぎて送る蓮根かな 幻椏