親しい記者から、電話取材を受けた。新福田内閣を何と名付けるかという質問だった。福田首相ご本人が言っている様に「背水の陣内閣」は言い得て妙だと思っている。が、それでは芸が無い。
この状況をもたらした一番の原因は、小泉元首相の政治手法にある。本来人間の生活は多様で、その多様さを担保する事で豊かさも担保される、と 思う。人間の生活を抱え込む政治は、その多様性を抱え込まなくてはならない。が、彼は、政治を極めてシンプルな構造に置き換える事で、国民の支持率を獲得し、それを後ろ盾に多様な議論を封殺した。豊饒な政治土壌を洗い流し枯渇させた。結果物言えぬ大衆迎合、小泉絶対服従の諦観構造を創り上げた。前の衆議院選300議席超の大勝利に、参議院選大敗も安部内閣崩壊も起因している。小泉・安部の系譜に対し自民党は、意識的な無意識を以ってサボタージュをした。その結果が、想定外の事体を生んだのである。気が付けば命に関るまで状態は悪化していた。守るべき命の価値を改めて確認した自民党は、小泉手法の対極にある福田内閣を作った、と 私は思っている。ネオテニィー(先祖帰り)でも派閥復活でもない、そんな余地の無い崖っぷちの「背水の陣内閣」である。だから私は 「救急救命内閣」 と答えさせて頂いた。