この夏、ものつくり大学八代准教授のお力を頂いて 「竹ドーム」 を学生諸君とコミュニティー広場に創る事が出来た。大いに楽しい経験をさせて頂いたが、今回、八代先生の授業で行われている「緊急時に於けるシェルター造り」の最終授業にお声掛け頂き、オブザーバーとして参加させて頂いた。今年2年目となるこの授業だそうで、初年度の成果が「竹ドーム」となった訳である。緊急時、軽便な資材を使って即座にシェルターを作るという課題の中、最終的に10余のモデルを実際にキャンパスに造ると言う。
ものつくり大学で、建築研究所の国際協力審議役付研究支援員 今井弘氏にお会いした。彼は、この授業の特別講師を8週にわたりお務め頂いたという。また、中越地震の被災者に、実際彼のデザインしたエアーチューブの巨大ドームを提供し、ユニットを8連にして400人の方が2週間暮らしたという実物の1ユニットを展示して下さっていた。
国内に限らず、世界を飛び周り、難民の仮設住宅建設など、御活躍との事で、この経験が、大いに学生達にリアルな触発をしている様である。彼は、短時間に身近に在る資材で有効なシェルターをいかに創造するか、というテーマを基本に、発想の飛躍を期待しながら今日を迎えたという。資材コストは1万円以下と言う条件の中、モデルが組み立てられて行く。
農業用支柱、ゴミ袋、割箸、ダンボール、釣竿、FRPのパイプ、雨傘など多様な資材を使ってユニークな工作物が出現した。 本来製品は明確な使用目的を持ってプロダクトされている。その使用目的を変換、拡大する事で大いなる発見があり、その知恵が面白い作品を生み出す事に成る。学生達は、それを試され果敢に挑戦する事で初めて作品としての価値を獲得する。
割箸を使い、その小さな単位を積み上げていく事で割箸のスケールとはディメンションを事にする空間を創造すると言う試み、ゴミ袋に空気を吹き込み、それを繋げる事で新しい空間を創る、こう言う発想に大いなる可能性を感じさせて頂いた。小さな素材を積み上げて行く事で空間を創造し、その単位を拡大する事で都市のスケールを獲得し、同時に時代にまでキャッチアップしていく思想性のトレーニングが、ここで行われていた。学生達が、この豊饒な機会をどれ程理解しているかはオブザーバーの私には理解しかねるものの、何とも幸せな学生諸君で在る。
ものつくり大学のこの様な試みに、大いに期待しながら見守りたいと感じさせて頂いた。来年も、この作品の中から、コミュニティー広場に面白いフォリーが出来そうである。
(デジカメの写真の取り込みにトラブルが有り、アップまで随分と時間が掛かってしまった。慣れない事をするのはナカナカ難儀なことである。)