ふみいれば土やわらかく仏の座 幻椏
大方の季語集で「仏の座」を調べると、春の七草の仏の座を言い、新年に分類されている。この仏の座は「こおにたびらこ」の事で、菊科一年草、葉は蒲公英に似ていかにも柔らかそうな草であり、小さな黄色い花を持つ。我が句の「仏の座」は、紫蘇科の「三階草」を詠んだものである。道端に良く見る雑草で、早春から可憐なピンクの花を持つ。 ( 庭に写真を撮りに行ったが、犬ふぐり、薺、踊子草の花は見つけたものの、まだ仏の座は咲いていなかった。)
この句は、秋間梅林へ吟行に行った折に得た句である。初めて参加した吟行会、そして朝日俳壇で川崎展宏先生に4席で御採り頂いた事もあり、思い出深い。
3月13日は弟芳明の命日で、今日は期せずして、33回忌である。交通事故で25歳の若い命を落とした。風の強い日で、妙に胸騒ぎがした事を覚えている。弟の葬儀を済ませた直後、母方の祖父が急逝した。「芳明の結婚式に着ようと新調した礼服を、葬式に着るとは・・・」と孫の告別式に酷く気落ちをしていた祖父が、である。母は、一時に息子と父親を亡くした。その悲しみの極みの中で、「芳明の為におじいちゃんが付いて行ってくれた・・」と安堵の表情さえ見せていた事が忘れられない。
弟の命日は、13日の金曜日であった。キリスト教徒の嫌う13という数字が、以後私にとって特別な数字に成った。13、或いは31という素数が不思議に私の周りに纏わり付いて来る。この偶然を私は確りと、そして嬉しく意識しているのである。