12月12日、季楽さんを座主に銀遊句会が開催された。兼題は「平」、今回も中々の名句が揃った。
鱈ちりのその平凡を愛おしむ 季楽
寒茜地平の果てに貌を見る 孫歩
平然と化粧仕上げし赤ブーツ 遊水
小春日の平日のたり大あくび 逮歩
薔薇窓の彼方の平和冬麗 典女
お平らにお平らにとて菊の宴 和
平穏が足早に去る師走入り 丹水
平らかに空広ごりて冬の朝 桃
団塊が平衡喪くして暮の街 翌檜
冬ざれて響き色濃く平家琵琶 黙去子
蕪穢(ぶあい)
にて平べつたい愛撫冬の月 幻椏
季楽さんの「鱈ちりの・・」 と孫歩さんの「寒茜・・」 が8点獲得の首席句。季楽さんは座主と言う事で、嬉しそうに余裕の辞退。めでたく孫歩さんが首席と相成った。私もこの句に首席を投じている。今年、銀遊句会に参加され、俳句を始めた孫歩さんの感性恐るべし。「
平成の代も時雨たりコップ酒」も孫歩さんの1句、堂々たる句柄である。次席は7点獲得の「平然と・・」 の遊水さん。季楽さんと翌檜さんが首席、私が次席に選んでいる。句会に馳せ参じる折り、電車の中で得た句と言う。冷徹な観察眼が生んだ秀句である。もう1句、私は和さんの「お平らに・・」を頂いた。
今回も我が句には一人の共感者も得ず、黙去子さんと共に来年にこそと慰め合うばかりであった。黙去子さんの友情にひたすら感謝。御礼申し上げます。
また、座主季楽さんの御提案で、久しぶりに即興句を出す事に、兼題は「マスク」。しばし座を緊張と沈黙が支配した。
あこがれのマスクの女性(ひと)
の介護うけ 翌檜
マスク増えここは見知らぬ街と化し 遊水
新型のマスクに照れて速足登校 典女
駅頭へ群れ押し寄せる白マスク 逮歩
マスクして見上げた空は靄がかり 桃
マスク取り口紅濃い目に街明かり 丹水
マスクあげ鼻かむ女の細き指 黙去子
年の暮ベートーベンのデスマスク 逮歩
人の波ピンクのマスク登場す 和
大くさめマスク口から目に移動 季楽
マスクして鬱屈の唇くぐもれり 幻椏
即吟の提出が済めば、忘年会も兼ねた座にビール・ウイスキー・泡盛とお酒もふんだんに振舞われて、大いに盛り上がる。即興句は、翌檜さんが3人から支持を受けて首席に。座の主である翌檜さんから御提供された賞品は、黙去子さんの御著書、翌檜さんは満面の笑みで、「即興句には実力が出ますね。是非何時の日にかどなたかにこの本をお持ち帰り頂きたい。」と、次回に持ち越された。即興句においても、我が句は零点、厳しい年の瀬と成る。
句会終了後、銀座のど真ん中で句友輪になり、大きく3本〆で今年の銀遊句会を終えた。