11日日曜日、山本素竹氏にお誘いを頂き、日本伝統俳句協会群馬部会主催の句会に参加させて頂いた。朝早く熊谷を出て、渋川で素竹氏にピックアップを頂き、前橋の利根川河原で吟行。私は、吟行をして句会に参加と言う経験が極端に少ないので、朝から緊張気味である。冷冽な利根川は私の知る熊谷の風景と異なり、また美しいものだった。が、中々句に成らない。私は、何時どの様にして1句を得ているかを思うと、情況や言葉そのものに触発されて俳句を作っている様だ。客観写生、花鳥諷詠、有季定型を旨とする伝統俳句の作法とは、随分違う自分を意識する。会場を県立女性会館に移し、午後1時締め切りの7句提出である。群馬県内から参集した俳人は30余名。慣れない場に戸惑いながらも我が句を提出、緊張しながら結果を待つ。尋常でない私を見てか、素竹氏の御好意で日本酒をぐびぐびと飲む。
句会は、清記されたペーパーが廻され、一般参加者は7句を選ぶ。披講が始まり、読み上げられた句に、名を名乗る。句会の完敗は常である私は、名乗る事も無いと思いながら酒を飲んでいた。何と、間も無くして我が句が読み上げられる。たとえ1句でもお取り頂いた方が、それも伝統俳句協会の会員の方にであるから、望外の喜びであった。最後に素竹氏を含む4人の選者が、並選と特選5句を発表されて句会を終了する。何度となく呼ばれる句も有るが、私が選句した7句はそれ程のポピュラリィティーを得られなかった様である。我が句は最終的に4句、4人の方に選んで頂いた。特にご配慮の素竹先生に1句お取り頂き、感謝である。
水底に終の居処得て枯葉
平成の新成人の同じ顔
霜柱純粋理性摩天楼
着ぶくれて穹蒼に魂ほどの雲 幻椏
4句目の句が素竹氏選である。句会後、素竹邸にお邪魔し、奥様の手料理で新年会。嫁いでいる御子さん家族も加わり、この上無く楽しい時間を頂いた。良く飲んで、良く語り、だからそれ程の酔いを感じていなかったのだが、立ち上がるとふらりとした。思えば伊勢神宮初参り以上の時間を素竹氏に御世話に成っていた。只々有り難い事である。
そして昨日、朝日俳壇は第25回朝日俳句賞の発表であった。勿論、朝日俳句賞に選ばれるはずも無いのだが、金子兜太選10句の2席で入選していた。この偶然が、金子先生の偶然以上の励ましとして恐れながらも感受した。この1年改めての精進を、と思っている。
蕪穢(ぶあい)
にて平べったい愛撫冬の月 幻椏
昨年12月銀遊句会、「平」の兼題で得た句である。金子先生からは、「荒れた土地を容赦なく照らす冬月の素気なさ」 と嬉しい句評を頂いた。そして更に嬉しい事は、素竹氏も同じく稲畑汀子選で入選をしている。2人同時の入選は何度か有ったものの、前日濃密な時間を共有して次の日であるから、嬉しさも一入である。昨日も、今年の我が目標は稲畑選に入選したい,素竹氏も金子選を目指すと、語り合ったばかりだったのである。
手が紅くなる大根が白くなる 素竹